• テキストサイズ

希望を賭けた戦い The hopefight--.

第15章 もう一つの



「くそっ、鷹比呂あいつどこ行った!」

どんどん先に先に行ってしまった鷹比呂を見失った。
経路的になぜか夜桜団のとこへ行ったと思われる。


「とりあえず、私たちは先を急ぎましょう!」
「そうだな…」
「彼方の熱、どれくらい?」


海月が純粋な質問をする。
確かに、聞いといたほうがいい。


「…………それが……わからないのですわ」
「…わからない?なんで」
「体温計がないのです」

「はぁ!!?」


思わず大きな声を出してしまった。
雀羅は赤髪を揺らして必死に走りながら、面目ないと言った様子で発言する。


「救急箱すらなかったですわ」
「ここどうなってんだよ……医療器具もないとか」


愚痴を零している間に休憩室についた。
ドアを開け、しばらく様子を伺う。

「緋鯊君、カンナ、看病ありがとうですわ」


雀羅は二人にお礼を言い、彼方のそばによる。
汗だくで、呼吸がだいぶ荒いのがわかる。
雀羅はタオルをしぼると、優しく汗を拭い始めた。

その手つきたるや、母親のようだった。



「かあ…………さん……」


楓の思っていたことと、彼方の言っていることが見事に一致したため、少しびっくりする。

雀羅はタオルで汗を拭うのをやめ、


「……先程から、“母さん”の一点張りですわ」


そう言ったと同時に、後ろからドアが開く。
暗い顔をしながら………千乃が中へ入ってきた。


「…………彼方」


横になる彼方を見て状況を察したのか、目を見開く千乃。
驚愕の表情に満ちていく。
/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp