希望を賭けた戦い The hopefight--.
第14章 武と魔
「農作物があれば少しは楽になる」
そういえばここには様々な野菜や果物がある。
科学者たちからのせめてもの情けか。
そうだとしたらまずはここから出すのを優先してほしいところだ。
海月は林檎の実がなる木に上る。
林檎を手にとり、シャクッと美味しそうな音を立て、食べ始めた。
「本当、海月はいつの時代も変わらないな…」
「動く時は動くし寝る時は寝るって……動物かよ」
「あ、いましたわ!!団長さんたち!!」
後ろから必死な声が聞こえてきた。
何事かと振り返る。
「雀羅。どうした」
冷静に発言する海月とは対象的に、雀羅は息を切らしながら急ぎ気味にこう言った。
「彼方くんが……突然の高熱を出して……っ…とても苦しそうでしたわ……」
「彼方が?」
「はい………」
鷹比呂が確認するようにもう一度いい、状況がようやくわかったのか走りだす。
その後を追うように、楓たちも走り出した。