第14章 それは『悪戯』という名の…-具羅摩-
大体の当たりをつけ、心の中では思いきり舌打ちをしながら(ついでに報復も考えながら)、具羅摩は○○に向けてとびきりの笑顔を作った。
『他はともかく。悪いけど、○○には『飽きる』っていうの、該当しないから』
『え?』
『だから○○が仕返しする日は永遠に来ないから。それより○○の方こそ、私のこと嫌っていっても、ずーっと一緒だよ。ずっと、離さないからね』
『具羅摩……』
『私が抱くのは、これからずっと○○だけなんだから。覚悟しなさい?』
『~~~~っ!』
途端、いやらしい!とまたも真っ赤になった○○に叫ばれたのも、記憶に新しいところだ。
まあ今は、過去を追想するでなく、現実にある傍らの温もりを満喫するのが正解だ。
それに、自画自賛するわけではないが…と、具羅摩は隣の少女を見下ろす、だけで、頬が緩む自分を止められない。
隣にいる○○は、具羅摩の選んだ可愛らしい魔女の仮装をしているのだ。
(かわいすぎる…っ)
派手さを厭う少女の為、化粧は控えめにしつつ、魔女の衣装も華美にしすぎぬようにしながら、その実、髪から脚の細部に至るまで、具羅摩は凝りに凝りまくった。
お陰でそれはそれはもう、可愛らしい魔女が完成した…のだが。
これが何ともはや…具羅摩的には目に毒なほど可愛すぎた。
策士、策に溺れる…ではないが……。
可愛い恋人を更に可愛く見せるべく奮闘した…にも関わらず、あまりの可愛らしさに、今度は誰にも見せたくない。
「何なんだ…これって一体……」
我ながらまったく…と嘯く声も、しかしかつてと異なる柔らかさを帯びているのは、全て○○が隣にいるからなのだろう、と具羅摩は感じてならない。
二人で一緒に露店を回りたい、とは、可愛い恋人の願い事だ。
これは叶えねばならない、が、しかし。
(いつまでも、他の野郎共に○○を見せてられるか)
妙な気迫を漲らせながら、具羅摩は○○の手を優しく引く。
「さあ、行こうか?」
「うん!」