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陰陽の道≒式神との道

第12章 唯-小鳥遊正嗣-


その日…○○は多くの式神を失った。


「ぁ…っっ…ぅぁ…っぁ」
「大丈夫。大丈夫だよ。貴女は独りではないのだから」

ちゅくっ…じゅぷっ!

「んぁっ!ぁ、ぁ…っ、みんな…きえな…、で…独りにしな…っ、ぁぁっ」
「独りじゃない。独りなどではないよ。ほら……」

ぐっ…ぷっ…ん!

「ぁ…っ、ぁ!」
「良い子だね。もっと…しっかり私に掴まってごらん?」
「んん、ぁ…ふぁぁっ!」

先刻より夜陰の褥を彩るのは、紛うことない淫靡な男女の交わり……。

だが、胡坐を掻いた上に○○を乗せ、ぐちゃぐちゃと水音を響かせ、蜜を滴らせるそこを突き上げる様は、確かなまぐわいにも関わらず、何処か子供をあやすような、そんな抱擁にも思われた。

邸の主人である彼…正嗣が、不意に現れた少女を自らの室に招き入れたのは、つい先刻。

そして今、泣きじゃくる少女の下肢を穿ち、突き上げながらも、愛欲というよりは、慈愛を滲ませる抱擁を与え、○○もまた、男と交わっているというよりも、その腕に抱かれながら必死にしがみつき、失った何かを埋めようとするかのようだった。

正式な陰陽師となって日の浅い少女が失くしたもの、それは…式神……。

それは○○が望んで挑んだ無謀な戦いの結末ではなく、不幸にも出くわしてしまった、今の○○と、○○の式神達では到底太刀打ちできぬ、そんな天魔の一群だった。

敵わぬからと逃亡を図ったところで、おとなしく逃がしてくれる敵ではない。

○○は被害を最小限に抑えるべく応戦し、結果、確かに今の少女の力量を思えば、犠牲は最小限に留め得たと言えただろう。
しかし、支払った代償はあまりに大きかった。

家族から引き離され、孤独の中で修行に明け暮れた少女にとって、いつも傍にいる式神は使役するというより、仲間であり、半ば家族のようでもあり、式神達も、そんな○○に心を開いてくれていた。
それが…一瞬で霧散したのである。

式神といっても、その強さも格も様々である。
強敵の攻撃を前に一度は霧散し、戦線から失せても、時間が経れば元通り…という式神もいれば、本当に消滅してしまうものもいる。

その相違は様々であるが、式神としての能力…格の低いものほど、敵の強撃によって完全に消失してしまうことが多い。
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