第6章 大丈夫?
たまたま2人とも部活がない日だったので、逢坂くんの家に寄って勉強を教えてもらうことになった。
逢坂くんは
「数学は得意なわけじゃない」
とは言ってたけど、私より得意なのは間違いない。
実際、丁寧にわかりやすく教えてくれた。
「ありがとう。逢坂くんのおかげで小テストは乗り切れそう」
「うん。役に立てたのなら嬉しいな」
逢坂くんはにっこり微笑む。
「はぁ〜でも疲れた。勉強苦手…」
私は勉強道具を広げた机に突っ伏す。
「よしよし。ナコちゃんはそんなに一生懸命勉強しなくてもいいんだよ。僕が養ってあげるからね。
まあ、補習とかは面倒だからなるべく避けたいけどね」
彼が私の頭をなでなでして言う。
養う? えっ? 養う?
「そうそう…ナコちゃん、今度の日曜デートしない? 僕と」
彼が話を続ける。
今度の日曜…なんかあったような…
私は顔を上げる。思い出した。
「あっごめん。今度の日曜はサッカー部の試合の応援に行くの。だから無理…」
「やっぱり行くんだね。サッカー部の応援に…。如月斗真の応援に…」
彼が私の話をさえぎって、不機嫌そうに言う。
「いやいや…。別に如月くんの応援に行くわけじゃないよ。それにチア部の活動として行くんだから」
私は説明する。でも彼はやっぱり不機嫌そう。
「でも、僕の誘いを断って行くんだよね。僕より如月斗真を選ぶということ? なら僕にも考えがあるよ…」
「もう…わけわかんないこと言わないでよ。サッカーの試合はずっと前から決まってたんだから。
あ、土曜ならいいよ。
逢坂くん土曜はあいてないの?」
「あいているけど…」
「じゃ、土曜にデートしよ。どこ行きたい? 何したい? 逢坂くんの好きなようにしていいよ」
私は逢坂くんの腕にぎゅっとしがみついて顔を見上げる。上目遣いで、笑顔で可愛く。
彼はちょっと嬉しそうに顔を赤くする。
「うん…。じゃあ土曜日にデートしよう」
彼もにっこりと微笑む。
ふふ…ちょっと面倒くさい逢坂くんだけど、上手く操れたかな?