第1章 今宵見る桃色に
「あの…なつさん」
「何…菊さん?」
首を傾げて見てくる瞳に吸い込まれそうになりながら意を決して口にした
「子どもは何人欲しいですか?」
「え、え…き、菊さん?ちょ、え、え!?そんな…いきなり聞かれても…困り、ます…」
初めは驚いた顔を見せたが林檎のように顔がか赤くなって俯いてしまった
私は焦る
こんなつもりではなかった
まさかなつさんを困らせてしまうなんて
やはり現代の言葉は私には理解が難しいようで…
そう思った私は慌てて言い直すことにした
「あ、えっと…す、すいません…不快な思いをさせてしまったようで…」
この後、その言葉はどこで覚えてきたのかと問われ
素直に答えたらなつさんはフランスさんに大層お怒りになっていました
何でも純粋な私に教える言葉ではないとか、なんとか…
またこの理由についても勉強しなければなりません
ため息が出るほど人との関わりには慣れません
もっと他の皆さんのように社交的だったら良いのですがね
やはり日々勉強ですね
そういえばなつさんの顔も大分、明るくなってきたので気分転換に外に連れ出してみようかと思います
調度、今は桜が見頃の時期なのでお花見といきましょうか
「桜を見に行きませんか。ちょうど見頃のようですから」
「はい!」
そういうと支度をしてから来るという話になり一足先に裏庭の桜の木を見に行く
あの時の桜も見事に咲いていた
二人で交わした愛の約束
それは途絶えることのないもので今、ここにある
「菊さんお待たせ」
彼女は私の隣に座りいつものように微笑む
この笑顔を守りたい
もう寂しい思いをさせないように
離れないように
この桜に誓いましょう
「愛してします」
桃色の風に乗せて
一途な思いをあなたただけに