第5章 クリスマスデート
駅前に着いてから辺りを見渡す。黄瀬はどこで待っているのか。下手したら女子に囲まれているかもしれない。
「マジ、どこだ?」
目立つ黄色の髪を探すが見当たらない。
(困った…もしかしたらおいていかれた…?)
どうしょうもない不安に心細くなる。
「ん?あ、いた!」
不安になった時、見つけた。時計塔の柱の側に帽子を被った黄瀬が腕時計をしきりに見ていた。
「黄瀬、悪い、遅れた」
「え?椿っち…スか?」
「…あぁ」
(もしかして…この格好に驚いてるのか?…まあ、無理もないか)
「…可愛いんスけど」
「へ?」
「椿っちに可愛い格好させられると…こっちが照れるっつーか」
「は?」
黄瀬は照れて俺から視線を反らす。なんなんだよ…こっちは苦労して歩いて来たってのに…お疲れの一言くらい…。するとさっきまで顔を反らしていた黄瀬が俺の耳元に口を近づけてきた。
「…凄く可愛いっスよ、椿っち」
「っ////」
耳元で甘く囁かれて思わず、飛び退く。きっと今、俺の顔はリンゴのように真っ赤になっているだろう。
「嬉しいっスか?」
黄瀬がニコニコした顔で聞いてくる。
「…嬉しくないわけないだろ/////」