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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第1章 転校生は美少年?


誤魔化しながら、バスケコートを見て驚いた。あの緑間と名乗った奴がコート一番端からゴールを狙っていたからだ。これはいくらなんでも…と思っていたが、違っていた。彼はそれを見事に決めた。

「なに…あいつ…化け物かよ…」

「ふっふっふっ…キセキの世代は皆、あんな感じよ?」

「マジか…強いってのは聞いたがそこまでとは…」

キセキの世代を一人一人見て、感嘆の声を漏らす。これはやられた…想像以上だ。

練習は程なくして終了し、練習が終わった部員達は皆、着替えて帰って行った。…だが、黄瀬だけはボールを手に取り、自主練を始めた。

(黄瀬の奴…頑張ってんなー)

その場に胡座をかいて座り、ジーッと自主練をしている黄瀬を観察した。彼は練習に没頭しているせいか俺が見ている事などには気付かずにひたすら練習していた。いつしか、体育館には黄瀬と俺だけしかいなかった。

「…フゥ…って、あれ?!氷童っち、いつからいたんスか!!?」

「いつからって…最初から」

自主練が一段落したのか黄瀬はTシャツで汗を拭ってからいまさらのように俺に気が付いた。

「いるんなら、言ってくれっスよー…てか、氷童っち、胡座かいてるとパンツ、見えるっスよ?」

「気にした事ないな」

「いやいや!気にするでしょ!?氷童っち、女の子でしょ?」

「……」

その言葉に何故か、ドキリとした。

「どうしたんスか?氷童っち?」

顔を覗き込まれ、我に返る。黄瀬が心配そうな顔をして俺を見ていた。

「なんでもない…練習はもう終わったのか?」

「んー後、シュート練くらいっスかね?」

「なあ…俺もバスケしていいか?」
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