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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第3章 バンドコンテスト


「あっ!椿っちー!!」

(来やがった…)

これは後ろから抱き付いてくるパターンだな…バダバダと大きな音を立てながら、黄瀬が抱き付いて…その前にサッと避ける。

ズサー

黄瀬は相手が消えてそのままの勢いで地面に顔ごと突っ込み、しばらくぶっ倒れたままだった。

「うわ…こりゃあ、派手に転んだな」

塚田が痛々しそうに地面に伏せる黄瀬を見る。

「どんだけ勢いつけて走って来たんだよ…」

佐藤も呆れている。しばらく、放って置くとガバッと黄瀬は顔を上げて俺の方を見た。その顔にはキズがつき、おまけに今にも泣きそうな顔をしていた。いや…やり過ぎた…うわあ…それにしても、これモデルの顔かよ…

「酷いっスよ!避けるなんて…!」

「いや、疲れてたし、熱かったしよ」

「言い訳になってないっスよ」

涙目の状態で立ち上がり、俺の手を握った。
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