第3章 バンドコンテスト
「でも…なんでそこまで…?」
椿っちが不思議そうに演劇部の子に聞いている。それは俺も思った。
「え…?それは…」
「ん?」
「お、お友達に…なりたくて…////」
「友達…?」
「は…はいっダメですか?」
椿っちはしばらく俯いていた。俺は彼女の顔を覗き込んだ。彼女は…顔を赤くして泣いていた。
「椿っち!?」
「え?!なに?」
《椿side》
何なは涙が止まらなかった…今まで友達になろうなんて言われた事がなかったからか?
「…ありがとう…」
「お礼なんて…そんな」
「俺、今まで友達なんていなかったからな…嬉しくて…」
「そうですか…」
俺は涙を拭き、演劇部の子に向き直る。
「俺で良かったら、友達に…なって欲しい…」
「はいっ!ぜひ!私、塚田瑞穂って言います!」
差し出した手を暖かい小さな手が握ってくる。俺の初めての友達…ん?塚田?
「塚田って…」
「バンドメンバーの塚田もいたな…」
「あ、それは私の双子の兄です」
「「マジかっ!!」」
思わぬ真実を聞かされ、目を丸くする俺と黄瀬。まさか、あいつに妹がいたなんて…
「てか、黄瀬、知らなかったのかよ」
「いや、塚田が言ってなかったっスし」
こうして俺は塚田瑞穂と初めての友達になった。その日はラッキーデイだったのか(それか朝のおは朝の占いで良かったからか…)それはわからないが、バンドコンテストに出る為の曲もわりかしすんなりと決まった。
(これで優勝してみせる)
体育館に向かう途中、グッと拳を握って決意を新たに決めた。