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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第3章 バンドコンテスト


「側にいるだけじゃ…我慢出来ないんスよ」

「…っ////」

もう鼻先がくっついてしまいそうな程顔が近い。心臓が持たない…!!すると後ろから…

「あれ?黄瀬じゃ…!?わりー!邪魔した!」

背中にギターらしいものを背負った男子生徒が顔を赤くして逃げて行くのを見逃さず、一瞬の隙をついて黄瀬を突き放す。

「あ!椿っち!なんで逃げるんスか!」

「人、来てるしっ!!」

「なんで邪魔するんスか!塚田!」

「いや、だって、こんな所でいちゃついてるとは…」

「それくらい察してくれっスよ!」

(いや…それは無理だろ、黄瀬)

一人で突っ込んでいて気がついた。…ちょっとあの続きがしてみたかった俺がいた…え?マジか?俺、いつから変態に?

「黄瀬、そいつは?」

いつまでも口喧嘩をしていそうな雰囲気だったので流石にギターを背負った男子生徒が可哀想になり、中断させる為に黄瀬に質問した。

「あ、軽音部の塚田拓也っスよ」

「どうも、塚田です」

「あ、どうも」

相手の塚田と紹介された男子生徒がお辞儀してきたので俺もお辞儀を返す。

「あれ?他の部員は?」

「もう音楽室だよ」

そう言って上を差す。軽音部が活動しているのは5階の音楽室だ。

「そうなんスか、じゃあ、すぐ行くっス」

「あぁ」

(ん?あれ、一緒について行かないのか?)

「黄瀬…」

「さっきの続きっスよ?」

「やっぱりかー!!」

黄瀬に捕まるのをどうにか避け、5階に急ぐ。流石にもう一回は無理だ…心臓が持たないっ///

「なんで逃げるんスかー!」

「さっきの続きは後にしてくれー!」

塚田を追い抜き、先に音楽室にたどり着いた。
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