第7章 番外編2 ーバカでも風邪は引くらしいー
黄瀬を風呂場に連れて行き、先に入れさせる。俺はブレザーとパーカーを脱ぎ、靴下も脱いで、袖口をまくる。
「ほら、前向いてろ」
「…全裸じゃないんスか」
「全裸でやるバカがどこにいる…」
黄瀬の体を洗いながら、飽きれ、呟く。
(黄瀬の背中…意外に大きいんだな…)
シャワーを手に取り、泡を洗い流していた直後、グラリと黄瀬の体が傾いた。
「黄瀬!?き、きゃぁああっ!!」
黄瀬に押し潰されるように床に倒れる。そのせいでスカートとYシャツが水で濡れた。やはり、黄瀬は熱のせいなのかくらくらとしていたらしい。
「大丈夫か?!黄瀬?」
「ん…頭がクラクラするっス…」
「…わかった、すぐ出るか…」
これ以上、黄瀬を風呂に入れていたら余計に熱が悪化してしまいそうなので抱き抱えて行こうとしたが、なかなか、黄瀬が持ち上がらない。
(ぐったりしてるから余計に重い…)
「椿っち…」
「へ?なんだ?」
「エロいっス…」
「はあ?!なんでだっ////」
黄瀬は赤い顔をしながら俺の胸元を指差した。すぐさま、自分の胸元を見る。水で濡れたせいか下着が透けていた。
(ヤバッ!!!)
そう思った時にはもう遅かった。黄瀬は俺のYシャツのボタンに手を掛けて外し始めた。
「おいっ////黄瀬!!や、止めろっ!!」
「いつも、すぐ、止めちゃうスから…今日は最後まで…」
熱っぽい目線にドキリと心臓が跳ね上がる。このままではヤバいと分かっているのに少しこのままでもいいんじゃないか?と思う俺がいる…。