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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第6章 修学旅行は波乱の予感?


「はーい!次のペア、いってらっしゃーい!」

元気な合図と共に俺と緑間は森の中に入る。

(てか、なんでそんな元気な合図やねん!!)

思わず、心の中でつっこみを入れる。そうじゃないと恐怖に押し潰されそうだったからだ。

******

入ってからどれだけたったのだろうか…

「…い!」

(あーこうなるんならせめて緑間と黄瀬を入れ変えてもらえるように交渉すりゃあ良かった…)

「…おいっ!」

(いや、でも、そうしたら周りに変な印象が付きそうだな…)

「聞いているのか!氷童!」

「え?」

緑間の声で考えから覚めた俺。3歩前を歩いていた緑間は何故か、1mくらい離れた場所に立っていた。

(あれ?)

「氷童、歩くのが遅くなっているのだよ」

「あ、悪い」

慌てて緑間の下に駆け寄り、明かりを頼りにまた、歩き出す。今の所、何も出てきていない。と言うか出てきてほしくない。すると、草むらから一人の老婆が出てきた。

「ん?」

「あぁ、そこのお嬢さん」

いきなり、俺に話し掛けてきた。

「な、なんだ?お婆さん…」

老婆は下の方を見ていて顔が伺えず、少しくぐもった声で再び、話始めた。

「私は目が見えなくて困ってるんじゃ…」

「そりゃ大変だな、俺が森の外まで送り届けようか?」

「嬉しいねえ、ありがとう…だけどそれよりもっといい方法があるんじゃよ」

「もっといい方法?」

「そうじゃ…それはな」

すると老婆はゆっくりと顔を上げた。その顔は…。

「お前さんの目玉をくり抜けばいいんじゃよ」

その老婆の顔は血塗れで目玉は無く、空洞だった。

「ひぃ…いやぁああああ!!!」

その恐ろしい顔に俺は飛び退き、隣にいた緑間にガバッと抱き付く。

「ひょ、氷童!?」

緑間はいきなり、抱き付いてきた俺に動揺を隠せない顔で見てくる。そんなのは気にならず、近づいてくる老婆から逃げるのに必死だった。
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