第1章 転校生は美少年?
ちょっと残念そうに言う黄瀬。
「…昔、いたな…好きな男子」
「今はいないんスか?」
「あぁ、いない…」
「その昔、好きな子だったって子とは上手くいったんスか?」
しばらく、俯いて言うか言うまいか考えていたが何故か口がすんなりと動き、語り出していた。
「その子に勇気を出して告白してみたら…見事にフラれたよ」
「!?なんででっスか?!」
「お前と友達以上にはなりたくない…お前みたいな男女と付き合ったりしたらホモだと思われるからだとよ…笑えるよなー」
昔の失恋話をして苦笑する俺。
「…なんで笑えるんスか?バカにされてるのに」
黄瀬が震えた声で言ってきた。
「…そうしてないと…やっていけないからだよ…世の中」
(そう、俺みたいな奴は一生、女として見てもらえない)
するといきなり、後ろから黄瀬に抱き付かれた。
「うわっ///なんだよ、黄瀬!?」
「辛くなかったんスか?ムカつかなかったんスか?」
くぐもった声がすぐ側で聞こえる。