第4章 見えない壁。
花火の打ち上げ音と周りの客の歓声が聞こえる中、
私達は静かに手を握り空を見上げていた。
「美風さんはロボットなんですか?」
私はボソっとそう呟いた。
笑って否定してほしかった。
「バカじゃないの。」って。
でも、答えは違った。
「うん。そうだよ。」
「…そうですか。」
予想はしてたのに、
心がズンと重くなるようだった。
「僕はアイドルになるためだけに生まれてきたソングロボ。」
「…。」
まるで、夢の中に居るみたいな、
不思議な感覚だった。
私はぼーっと空に広がる花を見つめる。
「…ごめん。怖いよね。」
その美風さんの言葉にはっとなり、
美風さんの方を見つめる。
悲し気に笑う美風さんの表情に
胸がざわついた。
…
それもプログラムで作られた
表情なの…?
…
わからないよ。
…
あの"好き"って言葉も
キスしてくれた事も…
全部全部…
作られたものなの…?