第4章 見えない壁。
「心配掛けて本当にごめん。」
美風さんはそう言った。
私はその一言に思わず涙が流れた。
「うぅー…本当ですよぉ…もう会えないかと思って…怖かったですー。」
私も美風さんを強く抱きしめる。
「…うん。ごめんね。柚子。」
そうして、美風さんは私をゆっくりと離すと、
私の涙を手でぬぐった。
「ほら、そんな泣くとメイク崩れるよ。」
「だってぇー…」
私は止まらずわんわんと泣く。
美風さんは笑いながら、私の涙をぬぐう。
「ずっとTVで見てた。君の事。」
「へ…?」
「TVで見てたらもどかしくなって…会いたくなって…博士の所飛び出して来ちゃった。」
そう言って美風さんは私の頭を撫でた。
「柚子ってさ、TVではお馬鹿キャラなんだね。」
「…じ、事務所の方針です///」
私は恥ずかしくなり、思わずうつむいた。
「そうみたいだね。翔も言ってた。生で会ったら大人しくてびっくりしたって。」
そう言って美風さんはまた静かに笑った。
「僕は、まだ君の事を全然知らないみたいだ。」
「…私も美風さんの事全然知りません…。」
そういうと、美風さんは少し寂しそうな顔をした。
「ねぇ、柚子。明日一緒に出かけない?」
「…へ?」
「僕の事…話しておきたいんだ…。」
美風藍の事を知ってしまうのが
少しだけ怖くて、
私は少しだけ黙り込んでしまった。
でも、
私は真っ直ぐに彼の瞳を見て、
頷いた。