第4章 見えない壁。
「突然のアイアイの登場だよぉー!みんなラッキーだね!そーんな二人が出演する映画が今度あるんだってぇ!柚子ちゃんどんなお話かなぁー?」
私は寿さんに促され、
映画のストーリーと見所を説明する。
それを補足するように
隣から美風さんも説明してくれる。
また、こうして同じ空間に居れることが嬉しくって
私は思わず自然に笑顔になってしまった。
そして、何とか番組の収録は終わった。
私はスタッフや出演者の方々に挨拶をする。
と、同時に美風さんは私の手を引っ張った。
「み、美風さん!?」
「いいから!早く!早く!」
美風さんは嬉しそうに笑っていた。
後ろで寿さんと黒崎さんが驚いていた。
「アイアイが…」
「笑ってる…だと…!?」
私は美風さんに連れられるまま
局の屋上までやってきた。
「あ。あの、美風さん。体調はもう大丈夫なんですか?」
私のその問いかけに
美風さんは大きく頷いた。
そして、
私を強く抱きしめた。
「美風さん!?だ、誰かに見られちゃいます…。」
私は慌てて美風さんの肩を叩く。
「大丈夫。この辺一帯に人の気配ないから。」
そう言って美風さんは更に強く
私を抱きしめた。