第4章 見えない壁。
読み上げられていく恋愛相談に順調に答えていく。
「んじゃぁー。最後の相談だぁー。PN.柚子ちゃん大好きさんからだ。」
黒崎さんがそう読み上げる。
「ありがとうございます。」
私はカメラに向かって会釈をする。
「んじゃ、相談内容読むぞー。
私には恋人が居ます。
でもその恋人には私には言えない秘密があるようです。
私はその秘密が気になってたまりません。
問いただしてでも聞くべきか、
それとも話してくれるまで待つか…
どちらがいいのでしょうか?
教えて!プロフェッサー!…だそうだ。」
その文章を聞いて、
何か自分と似たものを感じた。
「んー!難しいねぇー!秘密の内容によるよねぇー」
寿さんは考えるポーズをする。
「てか、言えないような秘密ある時点でそんな奴信用なんねぇだろ。さっさと別れろ。」
黒崎さんは舌打ちをしながらそう言った。
「もぉー!ランラン厳しいー!柚子ちゃんはどう思う?」
私は寿さんに話題を振られて、
思わず考え込んでしまう。
「…私は…」
「そうだね。言うまで待った方がいいと思うよ。問いただすと喧嘩する確立80%って所かな?」
私が口を開こうとしたその時だった。
懐かしい声がスタジオの入り口の方から響き渡った。
「…え?」
全員がスタジオの入り口の方を見た。
そこには美風藍が立っていた。
「えぇ!?アイアイ!?風邪じゃなかったの!?」
寿さんがポカーンと口を開ける。
「うん。治ったから来た。別にギャラいらないから出ていいでしょ?」
美風さんはそういうと、
周りを見渡した。
「っけ。勝手にしろ。」
そう言いながらも黒崎さんはなんだか嬉しそうだった。
私は一人、
美風さんを見つめて固まっていた。
「やぁ、柚子。一人で番宣お疲れ様。」
そう言って美風さんは私の頭をワシワシっと撫でると、
私の隣の席に座った。