第4章 見えない壁。
美風さんと謎の男性が去ったスタジオで
私はただただ呆然としていた。
七海さんが心配そうに
私の肩を撫でてくれた。
「…大丈夫ですか?」
私は無言で首を振った。
「…大丈夫なわけねぇよな…。あんなもん見ちまったら…。」
そう言って来栖さんはソファに腰掛けた。
「…藍ちゃん…無理してましたもんね。僕が気付いてあげてれば…。」
四ノ宮さんがうつむきながら溜息をつく。
どんよりした空気がスタジオ内を包む。
「…美風さんは…大丈夫なんですか…?」
やっとの思いで言葉をしぼり出す。
私のその問いかけに
誰も答えてはくれず、
暗い顔をしていた。
「どうして何も言ってくれないんですか!?何か知ってるんですよね!?」
止まらなかった。
そんな事聞いたってどうもならないってわかっているのに
私は怒鳴りつけるように声を荒げた。
でも、
私がどんなに声をあらげても、
三人はうつむいて黙り込むだけだった。
耐え切れず
泣き出した私の肩を来栖さんが叩いた。
「悪い。俺達は何も話せない…。」
彼のその目にはうっすら涙が浮かんでいた。