第33章 記念日
『あ…これは…』
相葉さんがあたしの足に触れる。
膝に転けたときの擦り傷が残ってた。
「俺のために?」
『……うん…』
そう言うと“おいで?”と
言って相葉さん…雅紀は
あたしを抱き寄せた。
「大丈夫だった?
大輝…くん」
『うん。…ちゃんと断った。
すごい震えたけど…恐かったけど
雅紀の顔、思い出したら大丈夫だった。』
そう言うと雅紀は“そっか”と言って
あたしの頭をやさしく撫でた。
『でも、ここまで来るのが
一番、恐かったし…怒った。』
「え?…なんで?」
『二宮さんから行方不明って聞いて
どっかいっちゃうって恐かったし…
待ってるって言ったのにって憎しみが…』
「ヒャハハ…そっか…
ごめんね?…ありがとう」
雅紀の声にもぬくもりにも
安心して少しの間そうしてた。