第32章 大切な人
あたしが康介を見つめてるときも
あたしが苦しいときも、
泣いてるときも、笑ってるときも
きっと見守ってくれてたんだよね?
大輝くん。ありがとう。
『大輝くんの気持ちには
答えられません。…ごめんなさい。』
「…うん……
きっぱり失恋できたし…
スッキリしたわ…」
そう言って目の前のアイスコーヒーを
グビグビと飲んで大輝くんは
昔と変わらない笑顔でこう言った。
「お前のこと好きでよかった。」
やっぱり大輝くんは大人になってて
あたしよりはるかに大人で…
「幸せにならないと殺す。」
『…うん。幸せになる。ふふっ…』
「一つ言うとさぁ…
相葉さんといるときのは
兄貴を見てた目よりずっと女だった。」
『え!?…お、女!!?』
「本当は諦めてた。
あの目と表情を見た瞬間、
きっと誰にも敵わないって…」
大輝くんが言うとおり
あたしはそんな顔を自然にしてるのかも…
だって雅紀が愛しくて仕方がないもん。
「だから幸せになれよ?」
『うん』
「じゃあ、ここは任せた!」
そう言いながら伝票を渡して
急に席を立つ大輝くん
『ちょっ…』♪~♪~