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るろうに剣心【東京編】

第10章 動く理由




弥彦君が動けるようになったのは、一週間後のこと
その間、観柳たちの動きはなく、平和な時間が過ぎていた

私は恵さんと一緒におはぎを作っていた
おはぎのつくり方を教えてほしいと、彼女に頼んだからだ

出来上がったものを、今に持っていく

「おはぎなんて作るの何年ぶりかしらね」

薫さんたちはおはぎを一つとり、口に入れる

『どうですか?』

初めて作ったおはぎだから
上手に作れた、なんて思えず、少し緊張気味にそう聞く

「美味いでござるよ」

その言葉に私は安心した
おはぎは思ったよりつくり簡単で
今度作るときは、今より少し上手に作れるんじゃないかって思う

「でもおはぎなんて誰だっておいしく作れるわよ」
「いやいや。以前に薫殿が作った時は、まるで泥まんじゅうの様で―――…」

薫さんの右ストレートが決まる
緋村さんもいい加減学習すればいいのに

殴り飛ばされた緋村さんに寄り添うよう恵さん
薫さんを煽るようなセリフの数々を並べる
この人も大概いい性格をしている

「もっとしとやかになるかと思ったけど、あの女相変わらずだな」

薫さんと恵さんのやり取りを見てそういう弥彦君
……弥彦君、おはぎ食べすぎじゃない?
もう半分もないんだけど
相楽さんの分も残してあげて

「何朝っぱらから滑稽劇してんでぇ」

グッドタイミングで相楽さんは現れる
相楽さんは恵さんが持っていた薬を鑑定しに行っていた
鑑定してくれた人は、弥彦君を治療してくれたお医者さん

「間違いなくこいつぁ巷を騒がしてる新型阿片だとよ」
「そうでござるか…」
『……相楽さん、朝ご飯まだですよね?食べませんか?』
「いらねェよ。“阿片”女の作ったモンなんて、嬢ちゃんの料理以上に喰いたかねェ」

恵さんをにらむ相楽さん
その瞳は、怒りで染められているように感じた

彼は、昼寝をするといい寝間のある部屋へと消えた

たぶんきっと彼は、気持ちの整理ができていないんだ
恵さんがアヘンの作り手だって知ったけど、それと同時に彼女の過去も知ってしまって、自分でどうすればいいのかわからないでいるんだ
それできっとイラだっているんだ

緋村さんは、しばらくそっとしておこうと言ったが
私は、相楽さんの後を追いかけた

二つのおはぎを持って

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