第4章 想い
『お風呂、焚いてあるから入ってきたら?』
「そうね、そうするわ」
私の言葉に素直にうなづく薫さん
夕食は、緋村さんが帰ってきてからにしよう
薫さんがお風呂から上がって
縁側で二人、緋村さんの帰りを待つ
日が沈んで、外が暗くなっても
緋村さんは帰ってこない
心配になり玄関で待つ薫さんに、上着を持っていく
「ありがとう。……遅いわね」
『うん……。でも、大丈夫、だと思う』
「そうよね。剣心のことだから大丈夫よね」
そんな会話をしているとき、彼は帰ってきた
小さな少年を抱えて
少年は頭から血を流している
この子が弥彦君
「神谷活心流師範代で神谷薫殿。今から童の先生でござるよ」
薫さんと弥彦君は驚いたような顔をする
門下生が増えたというのに
薫さんと弥彦君は言い争うばかりをしている
私は二人を引きはがす
『……怪我してるし、医者に行こう』
私の一言で彼らは医者の元へ
傷は浅いものらしく一週間ぐらいで完治するとのこと
弥彦君をつれて道場へ戻る
「それより、このねーちゃん誰だよ」
帰り道、頭に包帯を巻いた弥彦君が私を指さす
「この人は椎名真愛殿。拙者と同じ神谷道場に居候しているでござるよ」
「……ふ~ん」
『えっと、よろしくね。弥彦君』
ぎこちないが、とりあえず笑顔
すると、弥彦君は少し目を大きくしたがなぜかは知らない