第4章 想い
緋村さんが剣客警官隊を叩きのめした翌日
人づてに噂は広まり、神谷活心流道場はにわかに湧き立った
15人を超える人の多さに薫さんは嬉しそうにしていたが
緋村さんは困ったように笑っていた
私は、というと
「あの、お名前を聞いてもいいですか?」
「昨日の闘う姿、素敵でした!!」
「一目惚れしました!!」
「かっこよかったです!!私もあなたのように強くなりたいです。弟子にしてください!!」
人の波に押しつぶされていた
しかも相手は全員女性
私はどう対処すればいいかわからず、あたふたとする
すると今度は“かわいい”などと言われ
もみくちゃにされる
なんとか全員帰ってもらった
が、ダメージが大きすぎて私はその場にしゃがみ込んだ
「人気でござるな」
他人事のように言う緋村さん
まぁ、他人事なんだけどさ
そのあと、薫さんと緋村さんは出稽古にでかけた
一人ぼっちの私
なにをしようか
することもないので、道着やタオルなどの洗濯でもしようかな
道着は、蔵にしまってあったものを薫さんが洗濯をして私に譲ってくれた
あと、サラシも
さすがに現代の下着は明治にあるはずもない
そのため、いつもはサラシを巻いているわけだが
如何せん、巻いたことなど一度もない
はじめのうちは薫さんに手伝ってもらっていた
しかし、今はもう慣れた
一人でも巻ける
慣れって恐ろしい
洗濯も手洗い
でも、これは何気に楽しい
大変だけど