第3章 おでかけ
【剣心side】
「緋村!」
警官を倒した後、名前を呼ばれた
振り向くとそこにはヒゲを生やした山県さんがいた
拙者を帝国陸軍の大幹部に迎えたいと言ってきたが、丁寧にお断りをした
山県さんは言った
“剣一本では、何もできない”と
そうかもしれない
でも、拙者はそうは思わない
視線の先には声を出して笑う二人の姿
その姿を見て拙者も笑みをこぼす
「剣一本でもこの瞳に止まる人々くらいなら、なんとか守れるでござるよ」
守りたい、と思った
あの無邪気な笑顔を
「拙者は今も昔も変わらないでござるよ。“人斬り”が“流浪人”になったこと以外はね」
そう言って、拙者は山県さんから離れ、二人の元へ向かった
そのあと、真愛殿から紺色の髪ゴムを渡された
「ありがとう!これ、大事にするわね!!」
薫殿の言葉に真愛殿は満面の笑みとなった
やはり、笑った顔が一番でござる
拙者は、紺色の髪ゴムをさっそくつけた
「あら、剣心。もう付けたの?じゃあ、私も……」
薫殿も紺色のリボンを付け、真愛殿も簪を付けた
「二人とも似合うでござるよ」
えへへと嬉しそうに笑う薫殿
少し恥ずかしいのか下をむく真愛殿
種類は違えど、同じ色のそれら
同じ色、それだけだでこんなにも嬉しくなるものなのだろうか
夕日が拙者たちを照らす中
この倖せが永遠に続けば、とそう願わずにはいられなかった