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隻眼男と白兎

第26章 敵の敵はやっぱり敵



再び迫り来る二人の攻撃を両の刀でなんとか受け止める。

「オイさっきまでの威勢はどうした?」

私と刀を合わせながら土方さんが不敵な笑みを浮かべる。

うるさい!こちとらもうとっくに本気出してんだよォオオオ!!


と、その時、

突然背後から殺気。

私は二人の刀を受け流して背後に迫る敵の志士の攻撃を受け止める。

見れば土方さんや沖田くんの方にも敵は向かっていたらしく、いつの間にかそれぞれの相手は志士へと代わっている。

土方さんや沖田さん、銀魂の主力メンバーは流石、強い。

だが敵の攘夷志士達も、腐っても鬼兵隊と協定を結んでいた猛者達だ。

こいつらもなかなかに手強かった。

『私は別に貴方達と戦いたくないんですけど…どうです?ここは一旦休戦とはいきませんかね?』

志士の刀を弾き、切りながら後ろで同じように敵をなぎ払っている土方さんに苦し紛れの提案をしてみるが、

「休戦だぁ?冗談抜かせ、この鬼兵隊が!」

…ですよねー。

見事に交渉決裂。

再び土方さんの刃が私へと降りかかる。


くそ。一体どうしたら…

土方さんも沖田くんも傷付けたくなんかない。

でもこのままじゃこっちが殺られる。


どうしよう、と打開策を頭の中で巡らせ、辺りをキョロキョロと見渡していると、

『⁉︎』

少し遠くで攘夷志士と刀を交えている近藤さんの後ろ姿が目に映った。

近藤さんは一気に三人を相手に刀を振るっていたが、

そのすぐ背後に迫る攘夷志士の姿があった。

目の前の敵に集中している近藤さんはもちろんそれに気付いていない。

『近藤さん!!』

咄嗟に叫ぶが、私の声は彼に届かない。

目の前の土方さんが訝しげな顔をして私を見る。


ダメだ…!

このままじゃ間に合わない!


私は土方さんの刀を力一杯弾くと、
無我夢中で持っていた刀も捨てて一目散に近藤さんの方へと走った。


間に合え…!!


『近藤さん!!!』

私は振り下ろされた刀から庇うように近藤さんの背後へ躍り出た。


その時私は、自分がこの後どうなるかなんて考えることも忘れていた。

ただ無我夢中で

近藤さんを助けたかっただけなんだ。


近藤さんへと振り下ろされた刃は、突然飛び込んできた私へと必然的に対象を変える。

武器も持たずして飛び込んだ私は、当然その刃を防ぐ手段もないわけで



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