第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
「んー、感覚的にはもう何日も経ってるぐらい針進めたアルよ?」
「どんだけ長い間鼻くそほじってんのこの人ォオオオ⁉︎」
新八くんが叫ぶ中、神楽ちゃんは変わらず少しずつ針を動かしていく。
カチカチと数分間隔で時が移り変わっていく。
「オイ!かなり深くまでいってるよ!止めたほうがいいんじゃないか⁉︎」
源外さんは相変わらず鼻くそをほじっている。
しかしよく見ればどんどんそれは奥に入っているように見えなくもない。
『救急車呼ぼうか⁉︎⁉︎』
「どの辺が⁉︎さっきからどこも変化してないよ⁉︎」
「ここが我慢のしどころアル!鼻くそから興味が失せれば次はきっと時計に目がいくネ!」
「いや、これ絶対時間進んでないよね⁉︎もうちょっと変化のあるところまで時計進めたほうが!」
「っえい!」
新八くんの提案により、少しだけ針の感覚を飛ばして神楽ちゃんが時計を動かすと、
…。
チーン
「「『いきなり変化し過ぎだろォオオオ⁉︎』」」
そこにはやはり鼻くそほじったままの姿で遺影になっている源外さんのお葬式が行われていた。
「一体何があったァア⁉︎ワンカット挟む間に何があったァアアア⁉︎」
新八くんは頭を抱えて喚く。
「なんでさっきまで鼻くそほじくってた人が、遺影で鼻くそほじくってるわけぇ⁉︎」
『だから救急車呼ぶかって言ったんだよ。こうなる事は想像出来たでしょうが!』
「想像できるわけねぇだろ!鼻くそ深追いしすぎて死ぬ奴がどこの世界にいるよ⁉︎」
「時計の前にまずじーさんの死を阻止しないとどうにもならないネ」
神楽ちゃんはそう言うやいなや時計を元の位置まで戻す。
「秒単位でじーさんの死の間際まで迫ってみるアル!」
少しずつ、少しずつ、また神楽ちゃんが時計の針を進めていく。
と、
カチ
「あれ?源外さんが消えた…」
突然私たちの目の前から消えた源外さんに、私たちはキョロキョロと辺りを見渡す。
「いや…コッチだ!」
銀さんの視線の先を追えば、
「あ!アレは!!」
店の入り口の方で、何か歪に丸い塊を掲げている源外さんの姿が。
「まさか!死の直前に時計の修理は完了していた⁉︎」
新八くんが源外さんへと駆け寄る。
それにつられるように私達も源外さんの方へと歩み寄る。