第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
あ、ハイ。
それを止まってるお通ちゃんに握らせるつもりだったんですね?
ええ、ハイ。わかります。
私が遠い目新八くんを見つめていると、
ドォオオオンンン
再び神楽ちゃんの爆撃が銀さんと新八くんに降りかかった。
「もういいアル。てめぇらゲスどもには頼らねぇアル。私とチサでやるネ」
今のうちにこっそりと高杉さんと私の婚姻届を書いておけば!時間が戻った後にはめでたく私と高杉さんは夫婦同士!!
高杉さんにピーなことやピーなこと、はたまたピーなことがし放題!キャッホォォイイ!!
…なんてコト思ってませんよ?思ってませんからね⁉︎
「?チサ?そんな怯えた顔してどうしたアルか?早く源外のジーさんとこ行くネ」
『さ、サーイエッサァアア!!』
神楽ちゃんの前で迂闊な事を言わない方が良いと学習した私は、震える足に鞭打って神楽ちゃんの方へと小走りで駆け寄る。
《時計を直してくだちぃ》
そう神楽ちゃんがどこぞのアニメ風に書いた紙を鼻クソほじったままの源外さんの前に起く。
「あとは時計の針を進めれば、ジーさんが時計を直してくれるはずネ」
そう言って神楽ちゃんは書き置きの横に時計を置くと、そのまま針を進めようとする。
が、
「ん?よく見たらコレ、時計がいっぱい付いてるアル」
神楽ちゃんの手が時計を持ったまま動きを止める。
私もその後ろから時計を覗き込んだ。
『ホントだー』
時計には見たこともないような文字盤が並んだ時計がその多面体にいくつも付いている。
「どの針動かしたら良いアルか?」
「知る訳ねぇだろそんなモン」
「ひょっとしてコレ、日数単位とか、年数単位の時計もあるんじゃないんですか?迂闊に触れないですよ?」
何時の間にあの神楽ちゃんの爆発から復活したのか、二人が何事もなかったかのようにしれっと私たちの後ろから同じように時計を覗き込んだ。
『先ずは適当にちょっとだけ動かしてみるしか無さそうだねぇ』
私のつぶやきに神楽ちゃんは小さく頷くと、一番手前にあった針を動かそうした。
「あれ?結構硬くて動かないネ」
そう言いながらも持ち前の馬鹿力で針を僅かに進めていく。
「どうアルか?なんか変化あったアルか?」
「やっぱり鼻くそほじったままじゃ無理なのか…
オイ、もっと思いっきり針進めてみろ」
グイッ
カチッ