第1章 ユキと銀酷の森
〝銀酷の森〟‥‥一度足を踏み入れたら最後、森に喰われてしまう‥‥‥‥‥‥そんな言い伝えが昔からあって、村の人達はこの森に誰一人として近づこうとはしない。‥‥‥‥‥‥私以外は。
確かに危険な獣達はたくさんいるけど、食べ物を分けてくれたり、一緒に遊んだりしてくれる本当は優しい獣達だ。
‥‥ただ、人は森を壊すから。獣達は仲間や自分達の居場所を守ってるだけ。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
それにしてもお腹が空いた。
『ぶふぉ』
そんな事を考えて歩いていたら見事に顔からずっこけた。
『い‥‥痛い‥‥』
何かに躓いた。
『ん‥‥何これ‥‥紐‥?』
紐というよりは縄のような物が‥‥‥‥引きちぎれていた。
『‥‥‥‥‥‥』
どうしよう。
絶対私のせいだ。
しかも縄には札のような物が貼ってある。
『‥‥‥‥‥‥』
その場に座り込んだまま考えていると、一つの答えにたどり着いた。
『‥‥帰ろう』
うん。下手に触らない方がいいよね。そっとしておこう。
そういう結論に至りました。