第13章 Stay, My Darlin'!!(影山飛雄)※
思っていたよりも早くインターホンが鳴った。玄関の扉を開けると、なまえさんが立っていた。新鮮な光景に何故か身体が強張る。
「来たよ」
「……うす」
「これ、お土産」
「あざす」
差し出された袋をぎこちなく受け取る。中にはジュースとスナック菓子が入っていた。
やべぇ、なまえさんの私服、初めて見た。
頭の先から爪先まで眺める。いつもは制服かジャージを着ている彼女は、今日は灰色のシンプルなワンピースを着ていた。見慣れた我が家に私服姿のなまえさん。
かわいい。可愛すぎる。生足、柔らかそう、エロい。
「……あの、上がってもいいかな?」
黙ったまま突っ立っている俺の顔を、なまえさんが覗き込んだ。
「っ!? どうぞ、」
「おじゃましますー」
なまえさんは靴を脱いで家の中に上がると、こちらに背を向けてしゃがみ込み靴の向きを揃えた。
長い黒髪の間から白いうなじが見えて、唾を飲み込む。やばい。やっぱ無理。
「なまえさん」
「きゃ!」
我慢できずに、立ち上がったところを後ろから抱きしめた。「ちょっと!」と声が上がるが、気にせずに首筋に顔を埋める。甘ったるい匂いに理性が吹っ飛びそうだ。
「やめなさい!」
「あだっ!」
鋭い声がして右足に激痛が走る。見ると自分の裸足の上になまえさんの足が乗っかっていた。スリッパを履いておけばよかった、と思った。
「何するの、危ないじゃない」
「す、すんません」
「そういうコト、いきなりする子は嫌われるよ」
「はい、」
とりあえず頷いてみせると、なまえさんはにっこり笑って「うん、いい子ね」と頭をぽんぽんと叩いた。その感触にまた目の前がぐらりと揺れる。
やばいやばいやばい、落ち着け、落ち着け。
一度目を閉じて深呼吸をした。時間はたっぷりあるんだ。がっつくのは駄目だ。駄目。
「どこに行けばいい?リビング?影山の部屋?」
「あ、と、俺の部屋。階段上がったとこにあるんで」
「はーい」