第13章 Stay, My Darlin'!!(影山飛雄)※
『今日、家族が旅行でいないんで、遊びに来てください』
休日の朝に、なまえさんにメッセージを送ると、10分ほどで返信が返ってきた。
『いいよ』
「っしゃ!!!」
嬉しさのあまり部屋で1人ガッツポーズを取る。返信を打ち始めると同時にスマホが振動し、続きのメッセージが届いた。
『お昼ごはん食べたら行く』
素っ気ない文章でも胸をときめかせるのには充分だった。
3年のマネージャーであるなまえさんに憧れて、告白してOKをもらったのは2ヶ月ほど前。そこまでは良かったが、部活が忙しくなかなか2人きりになる機会が見つからない。朝練から始まり夜遅くまでバレーをして、終わった後はチームのみんなで揃って帰る。彼女への欲望だけが日々空回りしていた。
できることと言えば、電波を介した文字のやり取りと、休み時間の人目を盗んだ軽いキスくらい。
圧倒的に彼女が足りない。近くにいるのに触れることすらままならない。それがもどかしかった。
でも今日は違う。今日だけは、彼女は俺だけのものだ。