• テキストサイズ

【ハイキュー!!】青春直下の恋模様【短編集】

第49章 死にたがり女子高生と変態男子高校生(及川徹)前編


その言葉を聞いた瞬間、ぞくりとしたものが背中を伝った。

この人ってもしかして、私の思った以上にやばい人かも。



「すみません、やっぱり私、生きようかな」

「うそうそ!そんな怖がらないで!」


何が嘘なんだかわからなかった。逃げたほうが良いのか、それともこの人についていっても良いものか、うんうん悩んでいたところに、ふと昨日の夜、教室で書いた自分の遺書を思い出した。


「その小説のKさんって人、遺書は書いていましたか?」

尋ねると、「え?うーん……」と及川徹は首をひねった。

「そんな描写はなかった気がするけど……なんで?」

「いや、なんとなく」


適当にごまかして、私はそっぽを向いた。Kさんとやらの遺書じゃないのなら、あの出だしに書いた一文は、どの小説の一節なんだろう。というか、私の遺書はどこへやったんだっけ。



考え込んだ私の耳に、次は、松島海岸駅、とアナウンスが聞こえてきた。すかさず「なまえちゃん、ここです!」と立ち上がった及川徹に、「え?」と驚いて腰を浮かした。



「松島に行くんですか?」

「そうだよ。なんと言っても日本三景の一つだもんね!」

「観光しに来たんじゃないんですよ」


プシュー、と音を立てて開いたドアの外へ、「なーに言っちゃってんの?」と及川徹が飛び出した。


「綺麗に着飾って、美味しい海鮮丼を食べて、美しい景色を見る!そして清らかな心で死ぬんでしょうが!」


笑顔でくるりと振り返った彼は、そう言って私に手を差し伸べた。







*
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp