第42章 男女別々放課後青春トークのすゝめ(縁下力)※
「おいどうした縁下」
真っ赤な顔の彼に、坊主頭の男の子が不思議そうな顔をしている。
「あ、いや、けっこ……そう!けっこう悪くないよなって思って!コスプレも!」
(馬鹿か!それはさすがに下手すぎる!こっちにもバレちゃうよ!)
「ねえ、なまえ〜、結婚式するならどんな感じがいい?」
焦る私と対照的に、のんびりとした口調で隣の子が肩にもたれかかってきた。「私はねぇ、ハワイで挙式したい」
「や、結婚とか、そんな先のことは考えられないかな……ってゆーかもっと別の話しない?」
必死な私の言葉など聞いていないようで「やっぱお色直しは最低2回だよねー」「風船とか飛ばしちゃってさー」なんて、広がる女子の妄想を止められない。
「ゲストハウス貸し切りっていうのも素敵じゃない?テラスとかプールもついてるやつ!」
「でもそれだとお金かかるでしょ」
「ばかねー。そこは稼ぎのいい男捕まえるに決まってるじゃん」
「あそっかー。今の時代不景気ですからねぇ」
「そんで旦那はATMにして、私は専業主婦になりたい」
「それな。子供の習い事はスイミングと英会話」
「一方私はヨガ教室に通い、帰りにママ友とフレンチでランチ」
「というわけで、理想の旦那の年収は最低いくらでしょう?」
流れるように飛び出した質問に、私を除く4人が一斉にテーブルを軽く叩いた。
「「「「1,000万以上!」」」」
【縁下side】
(俺、そんな甲斐性ないです!!!!)
嘘だろ!?女子高って男子が考えてる以上にえげつないとは聞くけど、まさか高2でそこまで考えてんの!?
そんな男、この世にいるのかよってくらいの女子会トークに、思わず顔を覆いたくなる。
(なんかもうあれだ、銃弾が飛び交う地雷原に放り出された感じ)