第42章 男女別々放課後青春トークのすゝめ(縁下力)※
片や彼女もいない男子によるコスプレプレイ談義。
片や理不尽でしかない女子の将来設計。
俺となまえを置き去りに、それぞれのテーブルはどんどん盛り上がっていく。途方に暮れてなまえを見ると、彼女も縋るような目で俺を見てきた。
なんとなく、心が通じ合った気がした。
(俺たちは、一緒にいられるだけで幸せだよな。)
目だけでそう伝えると、こくりと頷きだけが返ってきた。思わず2人で笑みを交わす。
「っつーかさ、」
無事に平和的集結を迎えると思いきや、彼女の向かい、つまり俺の隣に座っていた女子が、小声でなまえに耳打ちする声が漏れ聞こえてきた。
喧騒の中で耳を傾けると「隣のテーブルの会話、さっきからちょいちょい聞こえてくるんだけど、下ネタばっかでありえなくない?」という身勝手な台詞。
「なあ、おい縁下」
隣に意識を集中させていたら、今度は俺の向かいの木下が、片手を口の横に立てて小さな声で話しかけてきた。「隣のテーブルの話聞いてたか?さっきから金の話ばっかなんだけど」
男子って最低、と呟く隣の声と、女子っておっかねーな、と言う木下の声が、頭の上で綺麗に重なった。
「「理想語る前に、現実見ろって感じじゃね?」」
「えっ?」
「ん?」
見事にハモった声の下で、木下と女子の視線が対角線上でカチリと噛み合った。それに合わせて、2つのテーブルの全員が何事かと口を閉ざす。
そんな奇跡的とも言える状況を目の当たりにしてしまって、同じように対角線上で視線を絡めた俺となまえは「いや、それは……」と苦笑を漏らすしかなかった。
「「それは、お互い様じゃないですか……?」」
奇しくも重なったその言葉がきっかけで、付き合ってることがバレてしまった俺となまえは、その後くっつけられたテーブルの真ん中の椅子に並んで座らされ、怒涛の質問攻めにあいました。
その話をするのは、また今度の放課後までのお楽しみってことで。
END