第42章 男女別々放課後青春トークのすゝめ(縁下力)※
(ひょっとして、この偶然も運命?)
他校どうしの付き合いだから、田中たちは俺に恋人がいることは知っていてもなまえと面識はないし、もちろん隣のテーブルに座る女子たちも俺の知らない子ばっかりだ。
誰も気付いていない、2人だけの関係。
そんな秘密が照れくさくて、独りでにやけながら目の前の料理を口に運んだ。
「で?どこまでいったんだよ、縁下さんは」
成田と話していたはずの田中が、突然話を振ってきた。まるで聞いていなかったので「え?何が?」と聞き返せば「とぼけんじゃねぇよ」と悪人面な田中がニヤリと笑った。
「お前がべた惚れの彼女サンとは、もうヤったわけ?」
「へっ!?」
ぶはっ、と勢いのいい音がして、見るとなまえが盛大に咳き込んでいた。どうしたー?なんて隣の女子に背中をさすられている。
「どうなんだよー?おい」
目の前の木下が楽しそうに聞いてくる。なまえと木下を交互に見ながら「いや、あの……」と言葉を濁らせていると「おぉ!この前彼女の家に行くって張り切ってたもんな!」と西谷が無駄に大声を出してきた。やめてくれ、と心の声が叫んだ。
(なまえに聞こえてるだろ……っつーか、思いっきりこっち見てるし)