第36章 みんなで共同生活!(烏野1年生ズ)
目覚ましが鳴った。さっきまで見ていた夢がパチンと弾けて、カーテンから差し込む朝日が目に刺さる。布団に潜ったまま手探りで目覚ましを探しだして、アラームを止めて二度寝。この時間が一番幸せ。だけど眠りに落ちたと思った瞬間また目覚ましが鳴った。違うか。スヌーズ機能はきっかりいつも5分間隔。タイムスリップは私が寝ているせいか。なんて考えていたらまた目覚ましが鳴る。もうこれで止めるのは何回目だろう。せっかくの日曜日くらい、ゆっくり寝かせてくれよ……って、日曜!!!?
「やばい!今何時!?」
がばりと飛び起きて時計を見たら朝の8時ちょっと過ぎ。う、平日ならばクレームが飛んでくるところだが今日は日曜日。辛うじて見逃してもらえるレベルではないだろうか。
「やばいやばい、急がなきゃ!」
寝起きのままに部屋を出て階段を駆け下りた。キッチンへ行こうとしてふと玄関を見ると、目に飛び込んで来たのはびしょ濡れの真っ黒お化け。
「ぎゃーーー!!!」
「あ、なまえ」
それはお化けじゃなくて影山だった。黒いTシャツが身体にぴったり吸い付いて、タイルの水たまりへと雫をどんどん垂らしている。
「びびびびっくりした!!」
「ビビりすぎだろ」
「なんでそんなびしょびしょなの!?」
「雨、降ってきた」
「走ってたの?」
尋ねると、ああ、と言って家の中に入ってこようとしたので慌ててストップをかけた。
「そのまま入って来ないで!タオル、持ってくるから!!」
「おう、悪い」
濡れた前髪の間から覗く両目を見る限り、影山は特に不快さも怒りも感じていないらしい。私が来なかったら家中の床を水浸しにするつもりだったのだろうか、と考えながら脱衣所へ駆けて行ってバスタオルを持ってきた。