第30章 みんなでシェアハウス(ごちゃ混ぜ3年生ズ)後編
外がすっかり暗くなった頃、コタツテーブルの上には鍋と、人数分のコップと、たくさんの飲み物がずらりと揃った。そしてそれを取り囲むみんなの顔も。
「菅原、お前も飲めよ!」
真っ先に烏龍茶を手にとろうとした菅原より先に、木兎がそのペットボトルを奪って言った。
「いや、俺明日1限だから」
「真面目か!いけるっしょ!むしろ徹夜っしょ!」
「馬鹿。お前と違って大変なんだよ」
岩泉が木兎の真後ろから烏龍茶を取り上げた。ほらよ、と菅原に手渡しながら「木兎はいつまで1年生のノリなんだよ」と苦言を呈す。
「スガ、俺も明日1限だから起こしてやるけど?」
大地がなまえの持参した日本酒の瓶を菅原に向けた。
「ほんとに?じゃあ1杯だけ!」
菅原はにっこり笑ってグラスを差し出した。そこに注がれる日本酒を見ながら、あーあ、知らねえぞ。と岩泉が心の中で呟く。
「よし!乾杯しようぜ!」
木兎がグラスを持ち上げた。つられてグラスを構えた及川が「何に乾杯?」と疑問を口にする。
「このなんでもない日に!」
木兎の屈託のない笑顔に、みんなの右手も上へと上がる。
「人生の夏休みに!」
黒尾が珍しく無邪気な顔で笑った。
「素晴らしきモラトリアムに、」
なまえも両手でグラスを持って、口元を綻ばせた。
「「「乾杯!!」」」
ガチャン、と勢い良くグラスがぶつかって、7人の笑い声が弾けた。
そして楽しい夜が更けていく