第30章 みんなでシェアハウス(ごちゃ混ぜ3年生ズ)後編
「ただいまー」
玄関の扉が開いて、穏やかな声が響く。それを合図にリビングにいた全員が振り返って声を揃えた。
「「「おかえりー」」」
「なんだ、勢揃いしてるな」
ダンボール箱を抱えた澤村大地が言った。「何、その箱?」と菅原が尋ねると「実家からの救援物資」と言って床の上に置いた。それを5人で覗き込む。
「わあ、野菜だ!」
なまえが声をあげた。「今日はお鍋だ!」
「えっ鍋!!?」
いつの間にか階段を降りかけていた木兎が聞きつけて駆け寄ってくる。
「キムチ鍋にするべ!」「お前が作るのはマジで洒落になんねぇからダメ!」「及川さんはトマト鍋がいいなー」「女子か!私はしょうゆ一筋!」「漢だねぇ。俺はポン酢で食べるのが好き」「聞いてねぇよ」
わいわい騒ぐ一同に、なんでもいいだろ、と大地がダンボールを抱え直した。「なまえ、野菜切るの手伝ってくれ」
「えー?私、お客さんなのに?」
可愛い子ぶって言ったところ、隣から「招かれざる客」とぼそりと聞こえたのでそいつの足を踏んでやった。一言多いなこいつ。誰だ。黒尾か。もう1回踏んどこう。
「働かざるもの食うべからず、だ」
そう言ってキッチンへ向かっていく大地の後を追う。「菅原もおいで!」と手招きすると「はーい」と上機嫌な返事が返ってきた。
「じゃあイケメンな及川さんはお米研いじゃおうかな!岩ちゃんと一緒に!」
「2人でどうやって研ぐんだよ、グズ川」
「俺は?俺は何すればいい!?」
ガッと叫んだ木兎に黒尾が肩を組んだ。
「木兎よ、余った俺らは夕暮れのデートと洒落込もうぜ。肉と酒を買いに。業務用スーパーへ」
「肉!?行く行く!!」