第3章 幼さ(影山飛雄) ※
「うわ、サイテー!けだもの!女の敵!」
「...そこまで言うかよ。」
大きな手がなまえの胸に優しく触れた。ぴくん、となまえの身体が跳ねる。
「...だいたい、俺達付き合って1年以上経つんだから、そろそろしてもいいだろ」
何をするのか、なんて聞かなくてもわかりきっている。
「やだやだやだ!前やったときめっちゃ痛くて指すら入らなかったじゃん!無理!」
なまえの涙ながらの抗議に影山もムっとして手を止める。
「あれは中学の時だったろ。今度は大丈夫だ。」
「何を根拠に言ってるの!?なんでそんな前向きなの!」
「やってみなきゃわかんねぇだろーが」
「わかるよ!コートの上ではだいぶましになったけど、ベッドの上では未だ独りよがりなプレイスタイルなんでしょ!?」
「んなわけあるかぁ!」
影山も流石にショックを受けたのかなまえを固定していた腕を緩めた。すかさずするりと逃げて距離をとる。
「あ、図星なんだ」
今度はなまえがにやっと笑った。影山は俯いてわなわな震えていたが、やがてぽつりと「...て、テクニックは確かだし」と呟いた。
「は?自分で言っちゃう!?なになに?針の穴を通すように正確にポイント突いちゃうんですかぁ!?私にも絶頂(いただき)の景色見せてくれるんですかぁ!?」
「...お前頼むからそういう発言は余所ではすんなよな...」
流石になまえの品のない発言に萎えたのか、影山は右手を額にあてて大きなため息をついた。