第3章 幼さ(影山飛雄) ※
「影山の言うフツーは、一体全体どこから仕入れた知識なわけ?」
「いちいちうるせぇな。いいから閉じろ。」
「はいはい。」
なまえはくすくすと笑った。簡単にムキになるこの恋人は、からかい甲斐があって面白い。
ちゅ、と唇が再び合わさる。影山も余裕がないのか、んっ、と喉の奥で小さく声を漏らして、なまえに覆い被さった。下唇を軽く噛まれると、びりびりとした弱い電気が身体を駆け巡る。
「っ...ふ、」
なまえは言われた通り目を閉じていた。視覚が遮断されると、いつもより感覚が研ぎ澄まされるせいか、影山の荒くなる息づかいが余計に近くに聞こえる。
息を吸おうと口を開けたところに舌が入り込んできた。熱いぬるっとした感触に驚いて目が開いた。
瞬間、影山と目が合ってしまい、思わず吹き出す。
「...ぷははっ、ちょ、影山~変な顔すんなって~!」
「なっ...!」
影山の顔が一気に真っ赤になった。
「おいなまえ、ふざけんなっ!」
「だってさ、目閉じないように頑張ってるせいですんごい怖い顔してたよ!?ここんとこめっちゃ皺よってた!」
なまえは自分の眉間を指差して笑う。
「お前が目開けろって言ったんだろこのボゲ!」
影山は馬鹿にされた恥ずかしさと怒りで般若のような顔になっている。「ったく、台無しじゃねぇかよ...」
そう言いながらも、台詞とは反対に何故か影山の右手はするするとなまえの制服の中へと侵入してくる。
「...え?ちょちょ、」
なまえは予想外の展開に身じろぎするが、影山の鍛えられた左手でがっちり腰を固定され、逃げることができない。
「ど、どしたー、飛雄ちゃん?興奮して勃起しちゃった?」
少し焦りながらもおちゃらけるなまえに、影山はうるせぇ、とだけ呟いて器用に片手でブラのホックを外した。ひんやりとつめたい手で背中を撫でられると、ぞわぞわと鳥肌が立った。
「...ぁ、こら影山っ」
「...確かにな」形勢逆転した影山は嬉しそうにニヤリと笑った。「キスしてるときの切なそうな表情は、そそったな、」