第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
ポケットのスマホが振動してビクリと身体が跳ねた。メッセージアプリ独特のリズムが間隔をあけて刻まれる。
眠気覚ましに確認してみると、烏野排球部のグループに連続投稿している人がいるらしい。開いてみると、この暇な時間を利用して菅原が写真をアップロードしていた。マメな人間もいるものだと感心する。
「影山、見て」
会話の種にしようと隣の彼を呼んだ。影山も顔を寄せてスマホの画面を覗きこんでくる。
遊園地入り口で戯れている2年生。やたらと多いなまえと菅原のツーショット。いつの間に撮ったのか、お化け屋敷の出口で待ち伏せして撮られた写真もあった。最後に人形が上から落ちてくる仕掛けに、みんな酷い顔になっている。
くすくすと笑いながら写真をスライドさせていく。
大地とのメリーゴーランドもブレずに撮れている。昼食を食べる皆の姿も。
次々に捲りながら、段々となまえは睡魔に襲われていく。船を漕ぎ始めた彼女に、影山が「眠いんですか?」と尋ねた。
「うん、ちょっとだけ…」
「じゃあ、寝てていいスよ。始まったら起こすんで」
稀に聞く彼の優しい声に、頼んだ、と一言呟いてなまえは目を閉じた。周囲のざわめきと、水の流れる音が心地良かった。