第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
この垂直落下のアトラクションは、1回の所要時間が短い分定員は4名と少ない。絶叫系のアトラクションは人気のため、待ち時間はそこそこにかかった。
途中何度か「怖かったら無理しなくてもいいんだよ?」と山口に確認したが「大丈夫です!ありがとうございます」と笑顔で返され、「私は怖いんだけど」なんて言えないままとうとう先頭まで来てしまった。
4つの座席に、大地、月島、山口、なまえの順で乗り込む。
「わ、ツッキーの隣だ!」と喜ぶ山口に「落ちるときに、”ツッキいいぃぃ!”って叫んだら明日練習量倍にするからね」とからかったところ、すぐさま大地に怒られた。
「なまえ、後輩いじめはほどほどにな。山口、無理だったら断ってもよかったんだぞ」
「俺は大丈夫です!」
「ちょっと待って、なんで私が山口を無理矢理乗せたみたいになってるのよ!」
「先輩は日向いじめの前科がありますからね」
「月島あんた…さっきの日向のは誤解って証明したじゃん。あ、”山口うるさい”も言ったら練習量倍ね!」
情けなくも2コ下の後輩にムキになっていると、発進のベルが鳴り響いた。
ぐん、と重力に逆らって身体が上昇する。それだけできゃあ!と悲鳴が飛び出た。
エレベーターのように地面が遠くなる。違うところがあるとするなら、足が宙ぶらりんなことと、これから落下するというところだろうか。