第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
「「うぇーーーい!!!」」
飛び上がってハイタッチをした。パチン!と小気味い音を立てた後、田中が烏野のメンバーに向かってズビシっ!と指を立てて叫んだ。
「見ましたかこの!俺となまえさんの!素晴らしきコンビネーション!!」
「何こいつらのドヤ顔!ムカつくなぁ!」「サバゲでコンビ組んだら強そう…」「田中!脱ぐんじゃない!!」「さっさと出口からどかないと危ないですよー」
口々に祝福の言葉を述べられて、声をあげて笑った。
「お客様、あちらのカウンターに……」
それから、遠慮がちに誘導する係員に「すみません」と頭を深々と下げた。
*
「嬉しいなー」
外のベンチで炭酸を飲みながら、なまえが言った。「お揃いでスマホにつけようよ、これ」
2本の赤色のストラップを並べてご満悦ななまえに、よかったっスね、と田中も笑った。
「なまえさん、元気になってよかったです」
「え?」
「なんか、落ち込んでませんでした?お昼あたりから」
「あぁ…」
そういえば、旭の言葉の意味を真剣に考えていたんだった。すっかり忘れていた。
「私はもう大丈夫だよ。身体動かしたらスッキリしたし。平気」
「解決したんスか?」
「ううん、考えるのをやめたの」
「そっスか」田中が白い歯を見せた。「それも大事なことですよね」
しかし田中に気づかれるとはな!不覚!!
ほのぼのしていると、最後のペアだった大地と菅原が建物から出てきた。
2人の顔を見てすぐに、あぁゴールはできなかったのだな、とわかった。
「フツーに駄目だった!」
菅原が悔しそうに言った。「パニクっちゃったよ。あのレーザーのとこ!」
「お前らの状況判断能力半端ないな」と大地も笑った。
「愛の力ってヤツっすよ」
不敵に笑う田中になまえも、そっすね、と棒読みで返した。
4人に微妙な空気が流れたところに、「なまえせんぱーい!」と日向が駆けてきた。
「次、俺!俺です!何にするかはまだ決めてないですけど!あっ、そのキーホルダーかわいい!」
「いいでしょ」
なまえはスマホを掲げてストラップを揺らした。「いいお土産ができてよかったよ」
「お土産…?」
日向が揺れるパンダを大きな瞳で見つめ、「あっ!!!」と声を上げた。