第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
「なまえさん、大丈夫スか?」
「ありがとう」なまえは大きく息を吸った。「でも、そこは男らしく抱きとめなさいよ」
「はは、すんません」
2人でボタンを押した。自動扉が開く。
暗闇に慣れた目が、明るい電気に眩んだ。
『最終関門運試し!爆弾を止めろ!!』
真正面の壁にそう書かれていた。
部屋の中央に、作り物の大きなハサミが2つ、開いた状態で向かい合わせになっていた。
左のハサミの刃の間には青のコード
右のハサミの刃の間には赤のコード
そして2本のコードの先は、台の上に乗った黒い球体に繋がっていて、そこに埋め込まれている液晶画面には、”00:00:11”と映っていた。
なまえは一瞬で状況を理解した。直後に11の数字が10に変わった。
「10秒!赤か青!」
田中がなまえのほうを向いた。なまえも田中の方を見た。
「決まってるでしょ!」
赤か青か
そんなのもちろん
「「 勝負の赤!!」」
2人で一斉に右のハサミに飛び付いた。ハリボテの大きなハサミは、簡単に動き出し、赤いコードの上に刃が振り降ろされた。
ピッ
電子音が鳴り、5の数字でタイマーが止まった。
沈黙のあとに、All Mission Completed!!の文字が浮かぶ。
「おめでとうございまーす!!残り5秒でゴールでーす!!」
正面の扉が開いて、笑顔の係員が顔を覗かせた。彼の背後で、列に並んでいたお客のどよめきも聞こえる。
「え、マジ?」
田中が目をパチパチさせて出口へ向かった。なまえもおずおずと進む。ひょいっと田中の後ろから顔を出すと、列から外れたところで談笑していた皆がきょとんとした顔でこちらを見ていた。
「おめでとうございます!あちらのカウンターで賞品をお受け取りください」
係員にそう言われて、なまえは田中のほうを見た。田中もなまえを見た。
それから、2人の顔に笑顔が広がった。