第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
田中は一瞬だけ迷ったが、すぐに電卓もどきの前に立った。なまえもそれに続く。2人が正面に立つと画面がぱっと明るくなった。
『8桁の数字を覚えろ!』
そして暗くなって、”6”とだけ映った。と思ったら消え、次に”8”、そしてまた“6”
「え、」
田中が固まった。
フラッシュ暗算のように点滅しながら変わっていく数字についていけない。
え、うぇ、あ。
混乱している間に映像は終わってしまった。
「ろくはちろくきゅうさんごーいちさん」
なまえは真っ暗の画面を見つめたまま一息に言うと、素早くキーを打ち始めた。
田中が唖然としている間に、OK!の文字が画面に映り、ボタンの檻が開く。
「声に出すの」
なまえがボタンに手を掛けて言った。「目で見るんじゃなくて音で覚えるのよ」
せーの、とボタンを押すと、2nd Mission Cleared!!の文字。
自動扉が開くと、今度は何もない長い廊下だった。50m程先に、次の扉と2つのボタン。
『走れ!』
シンプルな命令に、本能的に弾けるように駆け出した。
もちろん田中のほうが早く、2秒遅れてなまえがボタンに手をかける。
3rd Mission Cleared!!
「「よっしゃ!」」
肩で息を切らして、2人でガッツポーズをとる。
無機質な扉が開くと、その先は一転暗闇だった。
「うわ、」
「んだよ、これ……」
その光景に、思わず足が止まる。
暗闇の中で、緑色の細い光線が無数に交錯していた。
『レーザーに当たるな!』
あぁ、これが菅原の言っていたルパンのやつか、となまえは納得して、足を踏みだそうとした。
「なまえさん、」
ちょっと待った、と田中の腕が伸びてきた。
「1回引っかかると30秒のロスです。たぶん、他の奴らは当たった後パニックになるから2回、3回って当たって時間切れになるんだと思います。早く行こうとしなくていいスから、焦らないで行きましょう」
「……わかった」
落ち着いて目を凝らす。緑のレーザーは一定時間経つと一瞬消えて、また別の場所で交錯する。抜け道なんてないようだけれど、よく見るとパターンは2つだけのようで、安全地帯の数は少なくはないようだ。
道筋を見極めている間にも、田中がずんと進みだした。なまえもそれに続く。