第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
入り口横のタイマーを西谷が指さした。確かに、月島達が入ってからまだ1分ちょっとのはずなのに、タイマーはもう残り30秒を切っていた。
「あれは、途中のトラップに引っ掛かったんです」
「トラップ?」縁下が聞き返す。
「はい。ミッションに失敗しますと、1回につき残り時間が30秒減ります」
「30秒も!?」西谷が驚いた声を出した。
直後に『アウトー!』と声が聞こえて、並んでいる皆で「えっ!」と出口を見た。
「ツッキー!ごめんねええぇぇ!、俺が足引っ張ってえぇぇ」
「……別に」
月島と、それに縋り付いて謝り倒してる山口が出てきた。
それを横目に、菅原と旭が入る。
が、
『アウトー!』
きっかり3分後、スピーカーが鳴り響いた。
「いやーノーミスだったのになー」
菅原が頭を掻きながら出てきた。
「タイムオーバーかぁ」
旭が入り口のタイマーを確認して言った。「慎重に行き過ぎたな」
「そんな難しいの?」
菅原になまえが尋ねた。
「うん、なんか、レーザーを避ける部屋があってさ、あれがとにかくむずいんだよ!」
「レーザーを避けるって…どんな感じに?」
「怪盗ルパンみたいな感じ!」
菅原がニッと笑ってから、「もー、悔しい!大地!もっかいやりたいから俺と組んでもらってもいい!?」となまえと田中の後ろで1人並んでいた大地に尋ねた。
「いいぞ。ほら、入れ」
「さんきゅー」
菅原が後ろに並んだことを確認してから、「田中、」となまえが小声で呼びかけた。「わかってるでしょうね?」
「無論です」
前の西谷、縁下ペアが部屋に入る直前、田中と共に身を乗り出して開いた扉の中を覗いた。決してカンニングではない。これは予習である。
『向こう岸まで渡れ!』
正面に大きく書かれたミッション。
部屋の奥には、2つのボタンと次の部屋への扉。
その間には、ぽっかりと抜けた床とロープが2本、手前と奥にぶら下がっていた。
西谷が一番先にロープを掴んで、ターザンの要領で向こうに飛んだ。それに縁下が続いたところで、扉がゆっくりと閉じられた。