第20章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午後の部
昼食後、田中の先導で着いた先は園内マップで ”アスレチックアトラクション” というジャンルに分類されている仰々しい建物だった。
「こんなのあったっけ?」
太古の宮殿を模した建物を縁下が仰いだ。
「今年からオープンしたんだとよ!」
田中が自慢気に語る。「俺もよく知らねぇけど、第1の関門、第2の関門…って部屋ごとに簡単なミッションがあって、ゴールまでのタイムを競うもんらしいぜ」
「『体力、知力、運…全て備えた者のみが越えられる試練に君も挑戦しよう!』」
日向が看板を読み上げた。「よくわかんないけど、楽しそう!」
「へぇ、バラエティ番組みたいね」
なまえも看板を眺める。「脱出ゲームみたいな感じかな」
「そう!そしてこれは1人用コースと2人用コースがあるんです!」
もちろん挑戦するのは2人用!と田中がお祈りのポーズをとった。
「なまえさんとの協力…深まる絆…そして深まる愛…!」
「田中、なまえが引いてるぞ」
大地が冷たい視線を浴びせた後、ふと考え込んで「奇数だから1人余るな...俺が最後に並ぶから、適当に誰か2回やってくれ」と言った。
はーい、と誰ともなしに返事をして、ぞろぞろと中へ入った。
中は空調が効いていてひんやりとしている。なまえも2人用の列に田中と並び、前方のアトラクション入り口を眺めた。
入り口は扉で閉まっていて、その上には液晶画面のタイマーが表示されている。
どうやら、現在挑戦中のペアの残り時間を見ることができるらしい。
「制限時間3分か…意外と短いな」
田中が呟いたところに、『アウトー!』とスピーカーから声が流れた。
「いやあ、残念」
入り口の横の出口が開いて、大学生らしきカップルが出てきた。「全然駄目だったね」と笑う彼女のほうを見て、「結構難しいみたいだね」「だな」と前に並んでいる縁下と西谷が交わした。
「見て、田中」
なまえが壁の張り紙を指さした。「『見事ゴールしたペアには、当園マスコットのストラップをプレゼント』だって!」
見ると、そこには可愛いパンダのイラストと、赤青黄の3色のストラップの写真。
「赤色可愛い!欲しい!!勝負の赤!」
なまえが田中の服の裾を掴み「賞品があるってことは、けっこう難しいのかな?」と上目遣いに尋ねた。