第19章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午前の部
「なまえーーー!!!!」
菅原が両手を上げて叫んだ。少し恥ずかしかったけれど、なまえも「すがわらー!!」と負けじと叫び返して笑った。
後頭部に圧力がかかる。また天地がひっくり返って、あぁ今度こそ、と身構えた。
逆さまのまま、ゆっくりと後ろへ倒れる。回転だ。
猛スピードで世界が回る。
周囲から今日一番の絶叫があがった。内臓の浮く予兆に、ぐっと身体に力を入れた時、
「俺......俺さああぁぁぁ!!!!!」
誰よりも大きな声で菅原が叫んだ。最後の方は声が裏返っていて、咳き込む音まで聞こえてくる。
猛スピードで世界が回る。
パニックになる乗客。
低く唸りを上げる機械の音。
それに紛れて、菅原がまた何か喚く声が聞こえる。
え!?何!?と大声で聞き返すと、
ひゅう、と喉に風が吹き込む音が鳴った。
瞬間、周りの音が全て消える。
「お前のこと、好きだああああァァァ!!!!」
それはいつものノリのいつもの台詞
のはずなのに
どきりとした。
初めて聞く、菅原の絞りだすような声、
あぁ、嫌だ。と思った。
「私も......スガのこと好きだよーーー!!!」
どこまで本気でどこまでふざけているのか、自分でもわからない、ぐるんぐるんと回転する世界で、頭の中もぐちゃぐちゃに掻き回されてしまった。
もはや上も下もわからない。なにもかもがわからない。
3回転、
やがて振り幅が小さくなって、停止に向かってスピードが落ちていく。