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【ハイキュー!!】青春直下の恋模様【短編集】

第19章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)午前の部


「あぁー、笑った笑った!ほーんと3年には容赦無いよなお前!」
歩きながら菅原が大声を出した。「見ろよ、この大地の顔!」

そう言ってスマホの画面を見せてくる。そこに映る写真を見て、わぁ、最高だね!となまえもわざと大声で話した。「LINEのアイコンに使おっと!」

後ろで独り動揺している主将に笑いを堪えながら、菅原が「あ、ちなみに次は俺の番ね」となまえに言って立ち止まった。「これ、乗ろ」

ルーピングパイラット、とこの遊園地で命名されているそれは、海賊船のデザインをした乗り物が振り子のように前後に揺れるアトラクション。(ピンと来ない人は「遊園地 バイキング」でググってみよう!)

間近で見ても、想像していたより小型なものだったので、いいよいいよーと軽くOKを出す。

「お、なんだ余裕かー?」

「ジェットコースター乗ったら、もうなんでも平気な気がする!」

「よっしゃ!じゃあ並ぶべ!......と、その前に、記念撮影!」

スマホを自撮りモードにして、菅原がなまえに頬を寄せた。2人でピースをして撮っていると、「ほんと写真撮るの好きですね」と縁下が言ってきた。

「なまえの写真撮るのが好きなだけ!」なんて笑顔の彼に、なまえも含めた全員ではいはい、と聞き流す。


「これふわっとくるやつ?」並びながら田中が尋ねた。

「くるんじゃない?ブランコでもけっこうなるじゃん」縁下が答える。

「ブランコっつったらさぁ、」そこに西谷が口を挟んだ。「全力で漕いだらいつか一回転できると思ってんだけど、いつもできないんだよな」

「はは、やるやる」

「男子あるあるだな」

その会話を聞きながら、なまえは船体が動くのを眺めていた。海賊船が空へと高く上がる様子は壮観だけれど、船が揺れる度、乗客の悲鳴も大きくなっていく。その回転角度が180度を突破するころには、見ているこちらも生きた心地がしなくなってきた。

しかもなかなか止まらない。おや?と思っている間に、船体はぐぐぐ、と持ち上がり、ついには完全に逆さまになって停止してしまった。

頭上高くで人間達が逆さまになっている。

全身からさっと血の気が引いた。

悲鳴を乗せた船は、そのままゆっくりと傾き、1回転、2回転、そしてスピードが緩やかになり、やがて左右の振り子運動へと戻った。
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