第18章 みんなで遊園地(烏野逆ハー)プロローグ
「俺らは今日はみんなで来てんの。なまえとデートしに来たわけじゃないの」
その言葉に全員がしゅん、となる。
なまえだけは、さすが大地!と顔を輝かせた。
「ちょっとみんな集合、ミーティングだ」
大地が男子を集めた。「月島も、早く」
「なんでですか」
「いいから」
円陣の中に月島が引きずり込まれる。なまえはそれを遠くから眺めていた。
何を話しているのだろうか。みんなが、うす、おす、と真剣な顔で返事をしている。
すごく嫌な予感しかしない。
「———-というわけで、今日は1日こんな感じでいく。わかったか」
「「「はい!」」」
遊園地という場所は置いといて、声を揃える部員達に普通に感心してしまった。
あの烏合の衆をまとめられるなんて、やはり主将はすごいな。
「よくわかんないけど、ありがとね、大地」
「いや、こうなるのはだいたい予想できたからさ、平和的解決をするためのルールを考えたんだ」
「ルール?」
「そ、ルール」
そう言って大地は人差し指を立てた。
ルールその1.乗るアトラクションは1人ずつ順番に決めることができる
ルールその2.アトラクションを指定した人は、同時になまえとペアで楽しむ権利も与えられる
ルールその3.その時、それ以外のメンバーは文句及び妨害行為禁止
ルールその4. 順番は平等にじゃんけんで決める
「……確かに、平和って言えば平和、かな」
なまえは腕を組んで聞いていたが、うん、と納得して頷いた。
「だろ?」
「というわけで、じゃんけんだじゃんけん!」
菅原が高らかに右手を挙げた。「旭、後出しすんじゃねーぞ」
「え!?しないよ、しないしない」
「旭さん、そんなビビると逆に疑われますって」
「そう言うノヤっさんは勢いで早出ししそうですよね」
「はは!確かに」
「ちょっと、影山がめっちゃこわい顔してんだけど!」
「うわ、こいつ精神統一してる!試合前かよ!」
「さっさとじゃんけんしなよ」
なまえは遠くから冷たく突っ込みを入れた。誰かが号令掛けないと収集なんてつかないぞ。
「よし、じゃあいくぞ」
大地がせーの、と声を上げた。10本の腕が太陽に向かって掲げられる。
「「「じゃーんけーん」」」
そして円の中心へと一斉に振り下ろされた。